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吃音はどのようにしてなるのでしょうか


 なお,本ホームページは成長し続けています.原因についてより理解するには,先に「HK吃音理論」,「子供の吃」,「子供の吃Q&A」,「70歳,吃音卒業」を参考にしてください.


  1. 原因
  2.  原因にまだ定説はないといわれてきましたが,以下のものが原因であると考えて問題ないでしょう.
    吃音は幼児期

    (1) 繊細,敏感,恐怖を感じやすい,恥ずかしがり屋,不安を感じやすい,臆病,気が小さい,頑固,感受性が高い,などの持って生まれた性格(発達障害も関係している可能性もあります)と
    (2) ストレスが溜まったときそれが言葉の問題として出る持って生まれた資質を持った人に
    (3)幼児期(2歳前半ころ)に自分が認められていない,自分の居場所がないなどのストレスが加わる

    と発症します.またこのとき発症しなくても,吃音の原因を抱え込んでしまっていて後に発症します.

    (1) ,(2)の性格を持った人間に(3) のストレスが加わると吃音が起こります.誰でもそうなるわけではありません.ストレスの影響はいろんな面に出ますので,それが(2) によって言葉の問題としてに出る人がなるのです.

    (1) は多かれ少なかれみんなが持っている性格ですが,これが強すぎるとちょっとしたことでもストレスと感じ,そのストレスがいろんな問題を発生させます.心因性の胃痛,下痢,弱視,難聴,腰痛...などなど.それが言葉に出た人が吃音者なのです.

    ストレスには

    1)弟や妹ができて親がそちらにかかりっきりになったことなどの「幼児期の精神的ストレス」
    2)「あれをしてはいけません」,「こうしなさい」など,親の子供に対する過剰期待や教科書的すぎる育児によるストレス
    3) 成長レベル不相応な「しつけ」に(子供から見て)よる心のストレス
    4) 親のストレスが子供に与える「幼児期の精神的ストレス」
    5) 学校や社会や職場から受けるストレス
    6) 兄弟や友達からのストレス
    7) 病院に行ったり入院したりして経験する「幼児期の恐怖体験」

    などがあります.これらには注意しても叱っても聞かないことからくる親のイライラが大きく関係しています。

     1)から6)が積み重なり,7)によってトリガーが引かれ吃が発生する場合もあるようです.
    2),3)のしつけは,本来,人間の奥からわき起こる自然の欲求を,社会にあうように調整するものです.これが,その子供の成長段階にそぐわない形で行われますと,子供にとっては強すぎ,奥からわき起こる自然の欲求そのものを否定してしまいます.結果的に本末転倒となってそのストレスが吃音を引き起こすのです.

     4)は,親が嫁姑関係,夫婦関係,対人関係,子育てなどでストレスをうけると,それがついつい子供に向けてしまう場合です.とくに2歳あたりから始まる第一反抗期は魔の2歳児といわれ,子育てに大きなお母さん力が必要なときです.1)から4)は子供のためを思って一生懸命になる,子育てに熱心な愛情豊かな親が陥ってしまうわなです.「自分は認められない人間である」ということが心にしみこんでしまいます.

     吃音者になりますと,今度は吃音そのものがストレスを引き起こし,吃音化スパイラル(以下の項参照)真っ逆さまということになります.

     自然の欲求の否定がその人の基本となりますと,大きな問題を起こします.自然の欲求はその人のすべての行動の基本となるものですから,自分の行動や判断に自信がもてなくなります.誰かに規制してもらわないと,誰かに命令されなければ自信がもてなくなり,その結果,周囲が正しくて自分だけが悪いと思いこみます.ますます自信がなくなりますし,当然,本来の欲求が満たされませんからストレスがたまり続けます.要求を満たすとその点では満足しますが,それがまた不満足で不安でもあります.なぜならば,それが誰かに保証された物ではないからです.人の言うことを聞いてもダメ,自分の心からの欲求を満たしてもダメ,結局どこにも逃げ口が無くなって,それが吃音を発生させいつまでも治るのをじゃまします.

     しつけをしっかりするのは厳格なまじめな親が多いです.結構優秀でまじめで厳格で一生懸命なすばらしい親です.その親の子供ですから基本的にすばらしくまじめで厳格で一生懸命な子供です.この組み合わせが一つ間違うと吃音を発生させるのです.じつはしつけの時期は,一方では心の成長(人間の内面の成長,その人そのものと言って良い)に非常に大切な時期なのです.しつけの必要性やその効果は目に見えますが,心の育成の必要性やその効果は目に見えません.それゆえ,ついつい目に見える方に関心を奪われ見えない心にストレスを与えてしまいます.

     親もストレスを受けます.親戚関係のトラブル,夫や妻の浮気,大黒柱の病気や失職,対人関係,離婚など.子育てそのものも大きな楽しみでもあり大きなストレスでもあります.このストレスが大きいと耐えきれずに,それが子供に向かってしまします.それが子供の吃音を発生させます.離婚者の子供に結構吃音者が多いのも事実です.これには人類の進化過程で確立してきたことから出される脳内ホルモンによる母親の不安やイライラが大きく関係しているようです。

     吃音者の親は,繊細,敏感,恐怖を感じやすい,不安を感じやすい,恥ずかしがり屋,感受性が高いなどの性格を持っている確率が高いです.この性質が,まじめで厳格で厳しい親を演じさせます.この厳しさが子供の「繊細,敏感,恐怖を感じやすい,不安を感じやすい,恥ずかしがり屋,感受性が高いなどの性格」を直撃してしまうのです.一種の世代連鎖です.

     これと全く同じように,大人になっても周囲からのストレスをため,それが吃音を発生させてしまいます.

     なお,本ホームページは成長し続けています.原因についてより理解するには,先に「HK吃音理論」,「子供の吃」,「子供の吃Q&A」,「吃音仮説」,「吃音3人モデル」,「図説吃音者のでき方」を参考にしてください.


    1.  過去の経験による精神的ストレス
    2.  幼児期の過剰な精神的ストレスの防衛反応として二重人格になることがしられていますが,それと同様に精神的ストレスのはけ口,またはその警告として吃音を発生させることがあるようです.これが一番吃音の原因となっているのではないかと最近は考えるようになっています(ストレスを感じやすい性格が基本にあることがほとんど).また,自分の希望ややりたいことがあっても,親の置かれた立場や環境からそれができない状況にあることを子供ながらに悟ったとき,小さな心の中で葛藤が生まれます.わがまま言ってしまえば問題はないと思われますが,それが言えない心優しい子供が吃音になるのではないでしょうか.
      たとえば以下のような経験をしていませんでしょうか.2歳くらいの幼児期のことですので憶えていないことも多いと思いますが.

      1. 2〜6歳くらいで弟や妹ができて親の愛情がそちらに行き寂しい思いをしませんでしたか?
      2. お父さんが病気になってお母さんが緊張してこわくなったことはありませんか?
      3. お母さんとお父さんの関係,嫁と姑の関係でお母さんが厳しくなったことはありませんか?
      4. いろいろやりたいことやほしいものがあったけど,「あれをやってはいけない」,「これをやってはいけない」,「こうしなさい」と「しつけ」が厳しくなかったですか?
      5. 上と関係しますが,ご両親がまじめで厳格な性格ではありませんか?
      6. いい子でいなければならない時が多くなかったですか?
      7. 幼児の時,寂しくてしょうがなかったことがありませんか?
      8. 寂しくてつらかったけどやむを得ないことがわかり,文句を言えない状況がありませんでしたか?
      9. いろいろやりたいことやほしいものがあったけどやむを得ないことがわかり,わがままいえない状況がありませんでしたか?
      10. 突然親の愛情がなくなったと感じたことはありませんか?
      11. 幼児の時なにか恐ろしい経験をしていませんか?
      12. 友達にいじめられたことがなかったですか?
      13. お父さんお母さんが怖かった思いはないですか?


    3. 発育段階における社会的(特に対人関係)不適応
      1. 人間は生まれてから両親を中心とした環境で言葉を憶え,その後,近所の友達と遊ぶということで,始めて社会生活を経験し言葉でコミュニケーションをはかります.つぎに幼稚園のような学校に行くことにより,より多くの人々とコミュニケーションをとるようになり,社会生活をするようになります.これらの社会生活を経験することで言語機能をより成長させ,また,社会的にも成長していきます.

      2. 近所の友達は友達でもありますがライバルでもあります.学校の仲間も友達でありますが,また同時に競争相手でもあります.自分以外の人間と関係を持つことは自分だけの考え方で物事をすすめられないことを意味します.このような試練をのりこえることによって人間は成長していきます.ほとんどの人はそれぞれの力とレベルでそれぞれのやりかたでこの試練をこえていきます.

      3. このとき,自分のもって生まれた性質と成長段階から考えて,この試練が厳しすぎると吃音が発生するとも考えられます.何とならば,これらの試練は対人間的な試練で,そこにはコミュニケーションの手段としてしての会話が大きな役割を持っています.言葉は人間が持つの能力のうち非常に高度な能力のうちの一つです.それゆえ,ここにその影響が現れやすいと考えられます.


    4.  性格的要因
    5.  吃音になりやすい性格は以下のようなものと考えられます.このような性格が,幼児期,もの心がつくころ,青春時代にとくに敏感に作用して吃音を発生させます.年をとるに従って鈍感になる性格もあるので,年とともに吃音が軽くなることも多いようです.

      1. 上がりしょう
      2. はづかしがりや
      3. 心配性,先を見すぎて心配する
      4. 恐怖を感じやすい
      5. 自意識過剰
      6. 気が弱い
      7. 人の目を気にする性格
      8. 寂しがりや
      9. 劣等感を持ちやすい
      10. 赤面症
      11. まじめ
      12. 几帳面
      13. 感受性が強い
      14. 傷つきやすい
      15. ひがみっぽい
      16. 人から注目されていたい
      17. 仕切りたい
      18. 尊敬されたい
      19. 恐怖心をだきやすい
      20. 頑固
      21. 目立ちたがりや(そのわりに目立つことができない性格)

      自分の主な性格が生来のものか幼児期の環境によって出来上がったのかを割合で示せば,以下ように推測できます.


    6. 吃音になる過程
      1. 吃音化スパイラル 
      2.  上記に書いた原因で吃音になると思われますが,初期のころは本人はほとんど気にしていないことが多いようです.どもっていることに気がついていないときもありあます.また,すこし気にするようになっていても,それはまだそれほどたいしたことがない吃音であると考えられます.この時期の吃音を幼児的吃音と呼ぶことにします.精神的ストレスが原因でなった幼児的吃音の場合は,心の傷をいやしたり表現したりするための吃音であるから,これらは積極的な意味を持った吃音であると考えられます.


         幼児的吃音による吃音に周囲の人が反応(笑ったりいじめたり)し,その反応が本人に精神的にストレスを与え,心に傷をつけそれが本人を本格的な吃音者にすると考えられます.特に,このことは物心つくころや青春時代の感受性の強いときには著しいと考えられます.これを成人的吃音と呼ぶことにします.すなわち,成人的吃音とは「本人がそれを意識している吃音で,意識することにより「はなせないのではないか」と不安がり,ストレスをかけ続けている吃音」です.


         成人的吃音は,もはや心の傷を表現するための手段ではなく,吃音そのものが心の傷になっています.成人的吃音者になると,話す前にうまく話せるかどうか心配したり,最初の語がでてくるかどうかを心配したりします.それがまた,どもりを誘発ます.どもることによる,恥ずかしさや悲しみは,ますます心に傷をつけ恐怖心を植えつけ,同時にどもる条件反射を成長させたり,無意識のうちに,「どもるのではないか」,「どもるに違いない」などという自己暗示をかけたりしているようです.

         また,どもることによってどうしても話す量が少なくなるので,話すことをつかさどっている脳や筋肉などの器官に癖をつけてしまいます.この吃音になる過程を吃音化スパイラルと呼ぶことにします.


      3.  幼児的吃音 
      4.  上記原因がいろんな時に微妙にくみ合わさり言葉を言いにくくします.幼児的吃音はどもってはいるが,まだ,それを意識してない段階,どもっていることがまだ認識できる心の傷になっていない段階の吃音を,ここでは本当の吃音ではないと考えます.幼児的吃音は精神的心理的ストレスによりなると考えられます.心の傷には2種類あって,一つは潜在的なもので本人はそれを認識できないものです.二つ目は,認識できるもので,劣等感とか恥ずかしい,恐怖心とかでです.話をわかりやすくするために前者を深層的心の傷,後者を表層的心の傷と呼びます.次のようなことが原因でなるのではないかと思われます.


        1)性格的原因でなる場合


         普通の人なら何でもないことが,性格的に非常にその人の心にストレスを与える.それが原因でどもるようになります.

        2)過去のつらい経験によるストレスからなる場合


         過去に耐えられないような経験をするとそれに耐えられなくなり,それに耐えるためにそのつらい経験を心の奥に押し込んでしまいます.その代償としてどもり始めます
         今まであった自分に対する関心が薄くなったりして,今までのように自分に関心を持ってももらえなくなるなど,自分が無視されているという経験が,周囲の人に自分を認識させるためにどもりはじめると考えられます.


      5.  幼児的吃音から成人的吃音への移行
      6.  幼児的吃音になるとそれに対して周囲が反応するようになりその反応が本人に精神的苦痛を与えます.どもるとそれを他の人に指摘され(笑われる,おかしい,仲間はづれにされる,もっとゆっくり言いなさいなど)そのいやな気持ちや失敗の気持ちが心に刻み込まれます.いやな気持ちを二度と味わいたくないが故に,次に話す前にうまく話せるかどうかを気にするようになり,また,話すとき,異常に緊張するようになります.話せるかどうかを気にするようになると,話す内容はもちろんのこと,発声(発語)そのものを大きく気にするようになりそれが発声器官に余計な緊張を強いるようになりそれが,ますます吃音を進めます.


         話をするとき,話したい内容を頭にうかべると自然に言葉が出るのが普通です.吃音者は,この言葉が出るかでないかを気にするようになるので,話すことそのものがぎこちなくなります.すなわち,吃音者になります.このことがますます言葉のいいにくさを誘発し,それがまたいやな記憶として記憶され心に傷をつけます.この心の傷がさらに吃音を誘発しその結果の恥ずかしさなどがますます心の傷を深くします.このようなサイクルがが繰り返されて,心を回復不可能なところまで傷をつけてしまいます.このようなサイクルが繰り返されて吃音者になる過程を,吃音化スパイラル(らせん階段)ということにします.


         幼児的吃音の人は子供時代にはけっこういると思われますが,多くの人は本人の性格から吃音化スパイラルには入らず,また,万が一入ってもすぐぬけだし成人的吃音者とはならないようです.幼児的吃音は,環境が改善されたりして成長とともに消えることもあります.はづかしがりやや心に傷が付きやすいなど吃音になりやすい性格の人だけが吃音化スパイラルに入り成人的吃音となると考えられます.もの心のつく時期や青春時代などは精神的に敏感なときであるので,この時期に成人的吃音となる人が多いと思われるます.

         それ故吃音とは,結局,主に心の傷が原因でなる一種の精神的な病(または自己マインドコントロールの結果)と考えたほうがよさそうです.


      7. 吃音の固定化
      8.  吃音の人はそうでない人に比べどうしても話す機会が減ります.そのため,以下に示すような吃音の固定化がおこります.

        1.  吃音肉体器官の成長
        2.  吃音の人はどもって話します.これが繰り返されるのでどもるための器官(口やのどの筋肉,声帯などとそのための脳機能)が発達します.すなわち吃音の条件反射が出来上がり吃音のプロができあがります.吃音のプロでないとできない連発,難発ができるようになり,発声(発語)することにたいする意志の介入がスムーズにできるようになります.本来話す内容を考えることは大脳の役割で発声は小脳の役割と考えられます.前者は我々が意識できますが,後者は普通は無意識で行うもので,意志の介入はないものです.


        3.  吃音の隠蔽化
        4.  どもるとはづかいしいし,いろいろ言われるのでできる限り吃音を隠そうとします.言い換える言葉を探したり,言わなくて良い方法をさがしたり,頭の中が吃音でいっぱいになります.離す前から心臓がどきどき,その場でいるのもいやな気持ちがわいてきます.それが心に負担をかけ,ますます吃音を激しくします.激しい吃音はますます吃音をひどくし,そのいやな気持ちが次に話すときに出てきます.こうして 吃音といやな気持ちが一対のものとして心に刻み込まれます.そして隠蔽化が固定されます.


        5.  孤独化,孤立化
        6.  周囲に吃音者は通常いません.相談相手が無くただ独り苦しみに耐えなければなりません.親にははづかしくて話せないのが一般的です.この孤独化がますます心に傷をつけます.一方,恥ずかしいので「こんなことなんでもないよ」,「別に恥ずかしくも何ともないよ」とつくろう人も多いようです.


        7.  心の傷の封印化
        8.  心に傷が付きその傷口がどもるごとに鋭いナイフでかきまわされます.そもままではたまったものではありません.へたをすると傷もろともその人の存在を抹殺してしまいかねないかもしれません.それゆえ,その傷の上に厚い幕を下ろし,自己防衛をはかると思われます.すなわち,周囲の人,もしかしたら自分にさえも心を閉ざします.心はそれ以上傷が付かないのですが傷が治るわけではありません.閉ざされた心の傷は治しにくいのが普通です.


    7. 吃音をまねて吃音者になる場合
    8.  吃音者のまねをすると吃音者になるといわれています.しかしこの場合はその前に吃音の原因がたまっており,マネがきっかけでなったにすぎないようです.

      だから「まねをすればすべての人が吃音になる」とは限りません.吃音に成りやすい性格や資質が必要です.そして吃音になるような心の環境が必要です.